働き方の多様化や地方移住への関心の高まりから、「セカンドハウスがあったら、暮らしが快適になりそう」と考える方は少なくありません。しかし、不動産は大きな買い物ですし、まずはセカンドハウスのメリット・デメリットを知りたいと感じることでしょう。
今回は、セカンドハウスのメリット・デメリットを中心に解説していきます。「そもそもセカンドハウスとは何?」「別荘とはどう違うの?」という疑問にも答えられるよう、わかりやすく解説していきます。
この記事を読んでもらいたい方:
- セカンドハウスの購入を考えている方
- セカンドハウスのメリット・デメリットを知りたい方
- セカンドハウスか別荘か迷っている方
この記事のポイント:
- セカンドハウスは税制面でメリットがある
- 定期的に使用しなければならないなどデメリットもある
- 別荘という選択肢を考えてほしい
セカンドハウスとは

まずは、セカンドハウスの定義を理解しましょう。セカンドハウスとは、生活のために必要な第二の家のことです。
例えば、郊外の住宅から都心部の会社に勤めている方は、「自宅が職場の近くにあったら通勤が楽になるのに……」と感じたことがあるのではないでしょうか?職場の近くにセカンドハウスを所有すれば、通勤が楽になりますよね。
第一の家と同様、セカンドハウスは生活に必要な家なので、固定資産税の軽減措置などが受けられる場合があります。自宅と同様に所有できるのが、セカンドハウスの特徴です。
セカンドハウスと別荘の違い
セカンドハウスと別荘は明確に異なります。セカンドハウスは生活に必要な第二の家ですが、別荘は保養目的の家で贅沢品という扱いです。
贅沢品として扱われる別荘の場合、固定資産税の軽減措置などは受けられません。セカンドハウスと別荘では、税金面で大きな違いがあります。セカンドハウスの方が税金は安く、負担するコストが少ないメリットがあります。
ただし、別荘は沖縄や北海道、軽井沢などリゾート地に所有できるメリットがあります。セカンドハウスは生活の拠点となる家で、定期的に利用するものなので、都心から比較的アクセスしやすい場所に構えることが一般的です。一方、別荘は利用実態の制約がないので、どこでも好きな場所で購入できます。
自分が所有したいのはセカンドハウスなのか別荘なのか、よく考えてから購入しましょう。
セカンドハウスの条件
自分はセカンドハウスのつもりで購入したのに、自治体が認めてくれず、固定資産税の軽減措置が受けられないということがあり得ます。客観的にもセカンドハウスと認められるためには、自治体ごとに判断基準があるので、確認してからセカンドハウスを購入した方が良いでしょう。
セカンドハウスと認められるためには、例えば次のような条件があります。
- 通勤距離が長く自宅から職場までの通勤に長時間かかるため、職場の近くに第二の住居を持って平日利用する
- 平日は自宅で過ごすけれど週末は必ず帰る場所であり、生活の拠点として利用する
セカンドハウスは生活の拠点となる家でなければならないので、これらのような条件があります。定期的に利用している実績がないと認められない可能性が高いです。夏休みだけ利用するなど不定期で利用頻度が低いと、セカンドハウスとは認められないでしょう。
セカンドハウスの購入を考えている方は、これらの条件を頭に入れて物件を探した方が良いでしょう。セカンドハウスではなく別荘を購入する選択肢もあるので、柔軟に考えてください。
セカンドハウスのメリット

ここからは、セカンドハウスのメリット・デメリットについて解説していきます。まずはメリットについて解説していきます。次の3点が挙げられます。
- 通勤・通学時間を短縮できる
- 都会と田舎の両方を楽しめる
- 税金の軽減措置が受けられる
セカンドハウスを購入すると、ライフスタイルは大きく変化します。セカンドハウスを購入した自分の暮らしをイメージしながら、メリットを読んでみてください。
通勤・通学時間を短縮できる
会社や学校の近くにセカンドハウスを所有すれば、郊外の住宅から通うよりも、通勤・通学の時間が短くなります。そのため、時間を有効に活用できるようになるでしょう。
例えば、千葉や埼玉など郊外エリアは、東京都心に比べて安く不動産を購入できますが、このエリアからだと通勤に片道1~2時間かかってしまうことも一般的です。一方で、会社の近くにセカンドハウスを購入し、平日はセカンドハウスを使えば、通勤に使う1~2時間を節約できます。往復にすると2~4時間、1週間を5日間とすれば10~20時間にもなります。これだけの時間を節約できれば、体を休めたり、資格の勉強をしたりすることもできます。
会社や学校の近くにセカンドハウスを所有すれば、通勤・通学に使っていた時間を有効活用できます。自分の時間が増えるので、休養やスキルアップなどに時間を充てられるようになります。
都会と田舎の両方を楽しめる
第一の家を郊外に、セカンドハウスを職場の近くに所有すれば、都会と田舎の両方で生活ができます。平日はセカンドハウスを利用し、週末は都会から離れてゆっくりできる暮らしが手に入るからです(第一の家を都市部に、セカンドハウスを郊外に構えても同様です)。
郊外は都市部よりも不動産の価格が安い傾向にあるため、広々とした家を購入できる方も多いでしょう。週末は都会から離れ、ほどよくのどかな郊外でくつろぐことができます。別荘ではないものの、それに似た使い方ができます。
都市部の家も、通勤・通学の利便性だけでなく、都市部での暮らしを楽しめるメリットがあります。商業施設や飲食店が充実していることが多いため、刺激的な暮らしを楽しめます。
都会と郊外の両方に家を持っておくと、両方の良さを楽しみながら生活できます。都会も郊外もどちらも好きな方は、セカンドハウスを考えてみても良いでしょう。
税金の軽減措置が受けられる
セカンドハウスや別荘を購入すると、固定資産税や都市計画税(※)、住民税がかかります。固定資産税と都市計画税については、セカンドハウスと認められれば軽減措置が受けられるメリットがあります。
別荘だと軽減措置は受けられないため、これはセカンドハウスならではのメリットです。どのような軽減措置があるのかについては、次の章で詳しく解説していきます。
※:都市計画税は、市街化区域内の土地・建物にかかる税金です。
セカンドハウスの税金軽減措置

固定資産税と都市計画税については、セカンドハウスは第一の家と同様、軽減措置を受けられます。どのような軽減措置があるのか、固定資産税と都市計画税それぞれについて解説していきます。
固定資産税
固定資産税の税額は、次の式で計算されます。
- 固定資産税=固定資産税評価額(土地+建物)×税率(1.4%)
税率は標準税率が1.4%で、自治体によって異なる場合があります。
住宅がセカンドハウスに認められたら、土地と建物それぞれ別に固定資産税評価額が減額されるため、税金が安くなります。土地と建物の軽減措置は次のとおりです。
【土地(住宅用地)】
- 小規模住宅用地(200平方メートル以下の部分):固定資産税評価額が1/6に減額
- 一般住宅用地(200平方メートルを超える部分):固定資産税評価額が1/3に減額
【建物】
2022年3月31日までに新築された建物の場合、床面積が120平方メートルまでの部分について3年間・5年間にわたって固定資産税が2分の1に減額されます。減税される期間は、3階以上の耐火構造住宅、準耐火構造住宅は5年間、それ以外は3年間です。また、認定長期優良住宅の建物の場合、減税される期間が新築から5年間(マンションなどは7年間)となります。
都市計画税
都市計画税の税額は、次の式で計算されます。
- 都市計画税=固定資産税評価額(土地+建物)×制限税率(最高0.3%)
税率は最高0.3%の制限税率で、自治体によって異なる場合があります。
住宅がセカンドハウスに認められると土地の固定資産税評価額が減額されるため、税金が安くなります。土地の軽減措置は次のとおりです。
- 小規模住宅用地(200平方メートル以下の部分):固定資産税評価額が1/3に減額
- 一般住宅用地(200平方メートルを超える部分):固定資産税評価額が1/2に減額
なお、固定資産税と異なり、新築住宅の建物の軽減措置はありません。自治体によっては条例で特例を設けている場合があります。
以上のとおり、住宅がセカンドハウスになると固定資産税・都市計画税が減額され、税額が半分以下になるメリットがあります。別荘だと軽減措置が受けられないので、低コストで所有できるのはセカンドハウスならではです。
セカンドハウスのデメリット

暮らしが充実しそうなセカンドハウスですが、メリットだけでなくデメリットもあります。主なデメリットとしては、次の3点が挙げられます。
- 定期的に使用する必要がある
- ローンの金利は住宅ローンより高め
- 貸別荘にはできない
メリットよりもデメリットの方が大きく感じられる方は、セカンドハウス以外の選択肢も検討していきましょう。
定期的に使用する必要がある
セカンドハウスとして認められるためには、定期的に使用する必要があります。上述した税金の軽減措置を受けるためには、自治体からセカンドハウスとして使っていることを認められなければならず、定期的な使用はマストです。
しかし、転勤や転職によって職場が変わると、セカンドハウスを定期的に利用できなくなるかもしれません。別荘としては所有できますが、軽減措置を受けられないため税金が高額になる場合があります。定期的に使用できなくなった場合は、売却を考えるなど対応を考える必要があります。
セカンドハウスは定期的に使用することが前提なので、転勤が多い方など職場がよく変わる方にはデメリットが大きいかもしれません。購入ではなく、賃貸を選ぶ方もいます。
ローンの金利は住宅ローンより高め
セカンドハウスもローンを借り入れて購入する方が多いですが、住宅ローンよりも審査が厳しく、金利も高めの傾向があります。別荘ほどの贅沢品ではなくても、第一の家とは異なり生活必需品とまではいえないため、第一の家よりもローンの審査が厳しく金利も高くなりやすいのです。
とはいえ、収入が高く安定している方の場合、セカンドハウスローンは問題なく通るケースがほとんどです。もし金利が高く返済シミュレーションが厳しそうなら、頭金の支払いを増やして借入額を減らしたり、返済期間を短くして金利の負担を小さくしたりすることも考えましょう。
また、セカンドハウスローンは住宅ローン控除の対象ではなく、第一の家と違って節税効果は見込めません。以上の特徴は別荘のローンでも同様です。セカンドハウスや別荘は、第一の家を買うときに借り入れる住宅ローンとは別のセカンドハウスローンを借り入れるので、審査や金利、節税効果が異なることを理解しておきましょう。詳しくはこちらで解説しています。
貸別荘にはできない
第一の家の他にセカンドハウスを所有すると、維持費や税金、ローンの金利などコストも発生します。これらのコストを回収するため、「セカンドハウスを賃貸にして収益化すれば良いのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、セカンドハウスの場合は難しいです。
セカンドハウスの条件は、所有者が生活の拠点として使っていることです。そのため、使用しない期間がある場合でも、賃貸物件にするのは難しいでしょう。
また、セカンドハウスローンの返済期間は、他者に貸し出してはならない契約になっていることが一般的です。よって、セカンドハウスを賃貸にして収益化し、コストを回収するのは難しいといえます。そのため、本業の給与などの収入からコストを支払うことになります。
ただし、別荘の場合は貸別荘として収益化が可能です。貸別荘にして宿泊料を得て、ランニングコストの一部または全部をまかなっているオーナーもいます。次の章で詳しく解説していきましょう。
セカンドハウスの前に別荘を検討した方が良い理由

セカンドハウスを検討するなら、別荘も検討してみてはいかがでしょうか?生活の拠点として使用しなければならないセカンドハウスよりも自由に使えるのが別荘の大きな魅力です。使わない期間は貸別荘にして収益化することも可能です。
ここでは、セカンドハウスの前に別荘を検討した方が良い理由について解説していきます。
リゾート地に所有できる
別荘は、リゾート地に構えられることが大きな魅力です。沖縄や北海道、軽井沢を始めとする人気のあるリゾート地など、遠方のエリアで購入できます。
セカンドハウスの場合は生活の拠点にしなければならないため、都市部や都市部に近い郊外に構えることが一般的です。第一の家とそれほど距離が離れていないケースもよくあり、第一の家もセカンドハウスも変わり映えしないと感じる方も多いものです。
しかし、リゾート地に構えた別荘なら都会からも離れられ、非日常の気分で休息を取ることができます。セカンドハウスにはない別荘ならではのメリットです。
転勤・転職と立地が関係ない
転勤や転職によって居住地が変わっても、別荘は楽しむことができます。
先ほどお伝えしたように、セカンドハウスは職場が変わると使わなくなるデメリットがあります。「使わなくなったら売却する手続きが面倒だな」と感じる方もいるのではないでしょうか?
しかし、別荘はリゾート地に購入することが一般的であるため、職場の場所とは関係がありません。休暇が取れたときに別荘を使えば良いので、普段どこに居住しているかはあまり関係がないのです。
保養目的の住宅が欲しいなら、セカンドハウスよりも別荘の方が合っている方も多いでしょう。
収益化ができる
貸別荘にすれば、別荘は収益化できるメリットがあります。
別荘は頻繁には通えないことが多いため、使っていない期間がもったいないです。せっかくリゾート地に別荘を構えるなら、自分が使わない期間は観光客に貸し出すことで、宿泊料を得られます。自分で楽しむこともでき、収益化もできることが貸別荘の大きなメリットです。
セカンドハウスと異なり、別荘は税金の軽減措置が受けられず、税額が高額になりがちです。また、一般的な住宅ローンよりも金利が高く、ローンの返済が大変な場合もあります。こうした悩みを少しでも軽くしたいなら、別荘を収益化して補うという考え方ができるでしょう。
別荘を収益化するには、まずは人気のある立地の物件を購入する必要があります。定期的な清掃や宿泊客の対応をしてくれる管理会社も見つけなければなりません。そのため、決してハードルは低くはありません。
別荘の収益化に興味がある方は、専門家に相談した方が効率的に購入を進めやすいでしょう。「別荘買おうぜ.com」では、別荘経営のノウハウを持った専門家がアドバイスすることができます。少しでも興味をお持ちの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。
まとめ
セカンドハウスのメリットは、通勤・通学の時間を短縮したり、固定資産税・都市計画税の軽減措置を受けられたりすることです。デメリットとしては、生活の拠点として定期的に使用しなければならないことや、貸別荘にできず収益化はできないことなどが挙げられます。
別荘なら貸別荘にして収益化ができ、税金やローンの金利の支払いに充てられるため、結果的にはセカンドハウスより別荘の方がお得に感じられる方もいるでしょう。別荘の収益化については「別荘買おうぜ.com」の専門家がアドバイスするので、まずはお気軽に問い合わせてみてください。