別荘は欲しいけれど、実際に購入したら自分が管理できるのか?そもそも探すためにはどうすれば良いのか?
このように、具体的なイメージがなかなか湧かないという方もいることでしょう。そこで今回は、別荘買おうぜ編集部が沖縄に別荘兼バケーションレンタル用スペースを持つオーナーさんに実際にインタビューを実施。次の項目をテーマとしてリアルなお話を伺いました。
- 別荘を買うまでの経緯
- 別荘の購入の方法
- 別荘の管理や運用の仕方
- 別荘のある生活
別荘を実際に買った方の話を聞くことで、具体的な別荘ライフのイメージを持っていただければと思います。なお、今回お話をお伺いした方は、U氏(元会社経営・60代男性)です。お持ちの別荘の概要は次とおりです。
- 購入した年:2012年
- 所在地 :沖縄県瀬底島
- 新築・中古:新築
- 土地 :約200坪
- 建物 :約45坪
- 間取り :4LDK
別荘との出会いはひょんなことから
U氏は、30年以上前に30代で自宅を購入しています。当時は景気が良かったこともあり、10年かけずに短期間で住宅ローンを完済することができたとのことです。
一般的に、金融機関から融資を受けるには与信枠という「お金を借りることができる金額の上限」がありますが、住宅ローンを借り入れている人は、この与信枠が小さなくなってしまいます。
しかし、 U氏は住宅ローンを完済し、与信枠に余裕ができたことで、自宅とは別に余暇などを過ごすための別荘の購入を考え始めたということです。それが、今の別荘との出会いのきっかけとなりました。
U氏は60代になった今も大変アクティブな方で、マリンスポーツなどアウトドアの趣味を持っています。長期休暇だけではなく、休みさえあれば沖縄などの国内のレジャースポットやハワイなどの海外にもよく出かけ、マリンスポーツを楽しんでいるそうです。
レジャーに出かけたときの滞在先が欲しいと思ったことが別荘購入のきっかけなんですね。
はい、そうですね。レジャーに出向いた先でその都度部屋を借りるのではなく自分の家があれば自由に使えるし、長期滞在の際に便利ではないかと思ったことが別荘を欲しいと思ったきっかけです。
長期滞在する際に、別荘があればもっと楽しみやすいということですね。
ホテルなどではなく、もっと気軽に自分の家のようにものを持ち込んだり、BBQなどを楽しんだりできる施設のことをバケーションレンタルといいます。近年、日本でも増えていますが、私が別荘を欲しいと思い始めた十数年前はまだほとんどありませんでした。
そこで、バケーションレンタルのように使える別荘があれば良いなと思い、別荘を建てられる土地を色々な場所で探し始めました。
具体的にどういった場所で探し始めたのでしょうか?
アメリカに行くことも多かったので、最初はハワイなどアメリカで探しました。しかし、海外で別荘を買うためには法律的な制限などがあって難しいとわかりました。
そこで、日本国内で自分の趣味であるマリンスポーツを楽しめる場所が良いと考え、沖縄で探し始めました。
沖縄ではどのように別荘を探したのですか?
元々沖縄には一緒にマリンスポーツを楽しむ仲間がおり、そういった友人たちとも話をしながら探していました。サップボード関係のショップを経営している知人がおり、そういった人たちとの伝手も使ってバケーションレンタルにも使えるような場所を探していきましたね。
その結果、今の瀬底島にたどり着いたというわけですか?
そうですね。これはもう一目惚れに近いものがありました。
色々な土地を見ている中で、目の前にあった「ここだったらいいなあ」という土地が偶然売りに出ていたんです。ある意味、運命的なものがあったのかもしれません(笑)
ご家族からは、別荘を買うことに反対されることはありませんでしたか?
まったくなかったですね。私も妻もマリンスポーツが好きで、夫婦で一緒に楽しんでいました。瀬底島の土地を見せたときも「とてもいいね」と言ってくれたくらいです。
強いこだわりを持って別荘をデザイン

趣味が高じて別荘を欲しいと思うようになったというU氏 。その趣味を通して、沖縄県の瀬底島に別荘を建てることに決めました。
元々よく利用していたことに加え、知人がたくさんいるということも沖縄に決めた理由の一つとのこと。また、この別荘用の土地の購入には、「バケーションレンタル」に使えるという理由も大きかったと言います。
そして、自分の滞在用だけではなく、ビジネスの拠点として活用することを、購入する段階から視野に入れていたU氏。では、別荘を建てるというプロセスをどのように進めていったのでしょうか?
別荘購入には多額の資金が必要になると思いますが、資金調達で苦労はありませんでしたか?
別荘が欲しくなったときにはすでに住宅ローンは完済していましたし、当時は(2012年頃)まだ沖縄もそこまで海外からの観光客が多くはなかったので、土地価格も高くはありませんでした。
そのため、土地は自己資金で一括購入できました。タイミングが良かったと思っています。
別荘はこだわりを持ってデザインする方も多いですが、建物のデザインや建材、設備などはどうやって決めていったのですか?
私が建築関係の仕事をしていたこともあり、カナダにいるビジネスパートナーに資材の調達などをお願いしました。別荘のデザインは私がCADで設計し、そのデザインに沿った資材や建材を北米から輸入するという流れで作っていきました。
私がハワイアンのデザインが好きなので、その趣味を存分に盛り込んだものにしました。思ったような資材を手に入れるまでには時間がかかりましたが、そのぶん満足のいくものになりましたね。
かなりこだわってデザインされたことが伝わってきますね。苦労したことはありましたか?
資金面での苦労はさほどありませんでしたが、沖縄という土地の気候に適した建物にすることと、私が欲しいデザインの建物にすることの両立には苦労しましたね。
具体的にはどういった点でしょうか?
沖縄は、日本で唯一亜熱帯気候に属する地域です。台風も多く上陸し、一年を通じて本州よりも高温多湿の場所です。
ですから、湿気に強くシロアリなどが発生しないようにすること、台風で倒壊しないような頑丈な建物であることが求められます。そのため、一般的には沖縄に家を建てる場合はコンクリート、いわゆるRC造にしたほうが良く、木造の建物は危険だと言われました。
ただ、コンクリートでできた別荘は、私の価値観に合いません。せっかく理想の別荘を建てるのですから、その点は妥協したくないと思っていました。
そのため、デザイン面でも性能的な面でも納得できるものが見つかるまで、さまざまな資材を調べました。
実際に建てられた別荘はどのようなものですか?
土地は200坪ほど、建物は45坪ほどです。部屋は、ベッドルームがゲスト用を含めて3部屋。ジャグジー付きのバスなど、水回りの設備も家主とゲスト用で2つずつあります。
それにパーティールームにウェスタンスタイルのリビングがあり、20~30人でのホームパーティーを開くこともできますよ。
その間取りや設備はバケーションレンタル用の施設としての需要も見越して設計したのでしょうか?
そうですね。庭ではBBQなどもできますし、海も徒歩で5分くらいと眼前なので、すぐに遊びに行くことができます。
でも、自分が必要とする条件を揃えたら、自然とそうなったという感じでもありますね。
やはり完成したときには感動がありましたか?
そうですね。普通に自宅を買うのとは違う、自分が「楽しむため」のもう一つの住まいを手に入れたという大きな喜びと満足感がありました。
別荘購入が私の人生に与えてくれた豊かなもの
沖縄という気候ゆえのさまざまな苦労があったという別荘の購入。しかし、それだけにまさに「自分だけの」別荘を手に入れたという感慨もひとしおとのこと。
では、別荘を購入したことで、U氏の生活はどのように変わったのでしょうか?読者のみなさんも大いに気になるであろうポイントを伺ってみました。
購入後、どれくらいの時間を別荘で過ごすようになりましたか?
別荘を購入したときはまだ現役で会社を経営していたので、月に1回ぐらいでした。現在は神奈川の自宅での仕事は続けていますが、フルタイムの仕事ではないため月の1/3くらいは沖縄の別荘で過ごしています。季節に関係なく、毎月沖縄に行っていますね。
沖縄での別荘生活は都心で過ごすのとは違った時間の流れがあると思います。どのような1日を過ごしているのですか?
家は誰かが住んで手入れをしていないと、すぐに傷みが進行してしまうものです。ですから、別荘に着いた日は1日掛けてじっくりと掃除をします。特に、庭の掃除や設備のメンテナンスなどには力を入れています。
それ以外の日は、朝早く起きてそのまま海に行ったり、午後はゆったり海を眺めたり、夕方になったら友人を招いてホームパーティーをしたり、みなさんが想像するような別荘での1日を過ごしたりしている感じですね。
まさに多くの人が夢見る別荘ライフですね。
そう言っていただけると嬉しいですね。別荘は維持に手間が掛かりますが、その手間以上に非現実的な空間を堪能できますし、人との出会いも生み出してくれます。
それはどういった出会いなのでしょうか?
私の趣味はマリンスポーツなので、自宅のある神奈川でもそういったコミュニティに参加しています。また、沖縄でバケーションレンタルにもなる別荘を購入できたのも、知人の縁があったからです。
そして、沖縄に別荘を持ち、こちらでもマリンスポーツを中心にコミュニティに参加するようになり、多くの知り合いが生まれました。これは、別荘があったからこそ知り合えた方たちと言えるものです。
そして、実際に人と人との輪が生まれたことで、この別荘をバケーションレンタル用の施設としても運営できています。ビジネスを展開する上でも人生を豊かにする上でも、別荘は私に非常に大きなものを与えてくれたと思っています。
まとめ
趣味の延長線上から始まった別荘購入。決して小さくはない苦労もありながら、ご自身のこだわりを持って作り上げた沖縄県瀬底島の別荘は、U氏の人生大きな喜びと満足感を与えてくれました。
そして、別荘での滞在をただ楽しむだけでなく、さまざまな人との交流を行ったり、バケーションレンタル施設としてビジネスで活用したりしていらっしゃいます。「自分専用の空間で理想のライフスタイルを堪能する」といった観点だけではなく、「運用益から経済的自由を生み出す」という側面においても別荘を活用しているのです。
後編では、この別荘をU氏がどのように経営しているのかについて詳しくお伺いしていきます。